二−6 中海をめぐる諸課題について

 (1)江島大橋開通の意義
 去る10月16日、待望の江島大橋が開通しました。PCラーメン橋としては東洋一、そして
世界では第3位の大橋であります。この地域の歴史と風土をはぐくんできた自然や機構を
包括した「風」をキーワードにしてデザインされた美しい大橋の上に立つとき、この橋の完成
に郷土の未来を託した先人たちの願いと努力を継承し、周辺住民の皆さんの期待をしっか
りと受けとめて橋を渡っていかねばならないと、決意を新たにしたところであります。大橋の
完成により橋自体が観光の名所になると同時に、県境で切断されてきた周辺地域の人や
物の交流が一層促進され、互いの文化や歴史の見直し、共有化、一体化等々が図られる
ことを期待するものであります。

 今地元では、中海圏域の発展のため、鳥取、島根両県の連携を求める声大なるものが
あります。恵まれた自然環境と人口60万が集積するこの圏域が、両県発展の核となり、命
運を左右する地域であることは言うまでもありません。江島大橋開通の意義、活用方策に
つきまして、知事のお考えを問うものであります。あわせて、この圏域の将来展望について、
ご所見をご披露いただきたいと思います。


 (2)国営中海土地改良事業計画の変更、廃止について
 次に、本庄工区干陸中止と淡水化事業中止に伴う国営中海土地改良事業計画の変更並
びに廃止についてお尋ねいたします。

 この問題については、本年6月7日付で農林水産大臣から知事宛に協議がなされ、既に
8月20日付で同意の回答がなされております。その後、地元関係農家の同意も得られ、現
在公告、縦覧を経て確定の後、工事に着手するという段階にあります。また、廃止が決定し
た中浦水門については、既に車両の通行がとめられ、撤去工事が本年度中に着工予定で
あります。

 この撤去工事に対し、私はこれまで、堤防開削がなされない中での4年間に及ぶ大がか
りな工事が、治水上本当に心配ないものなのか、重ねてただしてまいったところですが、い
まだ堤防問題が決着を見ないまま今日を迎えたことは、まことに遺憾であります。

 工法についても、さきの砕岩棒工法を取り下げ、今回ワイヤーソー、いわゆる電気のこぎ
り工法というものが示されておりますが、この工法も含め撤去工事がもたらす影響調査に
ついては、本年8月の知事回答にも指摘されております。その後、このことについて国側の
反応はどのようなものとなっているのでしょうか。お尋ねいたします。

 次に、同じ知事回答の中で、懸案の堤防開削については、平成15年12月11日付の中
国四国農政局長通知で事業完了までに決着を図ることを確認しており、そのための協議、
検討を速やかに進めることを要望するという扱いになっております。局長通知は、堤防開削
については両県を含む関係機関で協議し、その結論に基づく必要な対策を講じた後、国営
中海土地改良事業の完了までに森山堤防、大海崎堤防を道路管理者に譲与するとしてお
ります。この通知で言う四者協議会での結論に基づく必要な対策を講じるのはだれなのか。
また土地改良事業の完了とはいつのことか。知事はどのように受けとめておられるのか、
お尋ねをするものです。

 そして、いよいよ最終局面を迎えつつある堤防開削問題について、確たる見通しと決意表
明を求めるものです。


 (3)ラムサール条約登録に向けて
 次に、ラムサール条約登録についてであります。

 ラムサール条約は、国境を越えて飛ぶ水鳥の生息地としての湿地を守ることを目的とす
る国際条約であり、湿地を守るためには、鳥の安全生息だけでなく、そこに生きるすべての
生き物と自然環境のバランスを再構築していく、地域を挙げたたゆみない活動が必要であ
ろうと考
えます。

 干拓・淡水化事業中止後の中海について、このラムサール条約指定地として登録しようと
する取り組みについては、中海の自然再生、浄化を求める上からも意義あるものだと受け
とめております。来年秋の登録に向け、これまでに地元の米子市や境港市、また利害関係
者との調整をされ、11月1日は登録前提条件である中海の特別鳥獣保護区指定の運びと
なったようでありますが、この先のスケジュールはどのように進められていくことになるので
しょうか。また、そのスケジュールを受けての施策の展開について、知事の思うところをご
披露いただきたいと思います。


 (4)水質浄化への努力を
 中海は、宍道湖とともに昭和63年に湖沼水質保全特別措置法に基づく指定を受け、これ
まで3期15年間の保全計画を実施してまいりました。努力が実って昨年平成15年度は、
COD75%値、全窒素、全燐いずれも水質目標を達成、3項目の同時達成は全国10の指
定湖沼で2番目の快挙だということであり、まことに喜ばしい限りです。

 下水道整備事業の順調な推移や米子市処理場の高度処理化、また合併処理浄化槽の
普及等のハード事業の進捗がこうした結果につながったわけですが、加えて昨年は植物や
魚介類等による浄化手法が検討されるなど、新しい局面を迎えつつあるように受けとめて
おります。

 今後、第4次計画においては、こうしたソフト事業をも取り込んだ幅広い水質浄化への取
り組みを期待しますとともに、私はやはり周辺住民の生活意識やライフスタイルにまで踏み
込んだ運動が必要ではないかと思うのであります。中海浄化に向けた一大県民運動を提唱
するものですが、知事はどのようにお考えでしょうか、お尋ねします。


 (5)大橋川拡幅の動きについて
 次に、大橋川拡幅についてであります。

 去る10月21日に、東京の自由民主党本部において、大橋川改修事業の推進と松江第
五大橋道路の整備促進要望大会が開かれ、松江市長から早期の事業着手を求められた
国土交通省の清治河川局長が、大橋川改修事業を本格推進する時期になったと強調。年
内に調査、測量に基づく具体的・骨格的計画を提示。これを受けて松江市は、まちづくり計
画を策定するということでありました。

 早速12月1日には国交省出雲工事事務所が拡幅計画を発表しましたが、大橋川拡幅に
ついては、平成13年6月の両県協議によって、鳥取県は堤防開削の具体的方針が確定さ
れない限り同意しないとの重要な一項目が入っており、このことが11月26日、澄田知事か
ら堤防開削を含めた中海問題について鳥取県と協議、解決したい旨の発言が出たゆえん
であると認識するものです。ついに来るべきときが来た感がする島根県の一連の動きにつ
いて、知事はどのように受けとめ、どのように対応されるおつもりか、お尋ねするものです。





                                      知事の答弁



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